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矯正をしたせいで歯の神経が死んだ?
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2022.04.25

矯正をしたせいで歯の神経が死んだ?

矯正治療をしたことにより歯の神経が死んでしまうことがあります。神経が死んだままの状態で放置すると恐ろしいことを引き起こす場合があります。死んでしまった場合は、適切な処置を歯科医院にて受けるようにしてください。

1. 矯正治療で神経が死ぬことがある?

結論から言うと「矯正治療で神経が死ぬことはあります」。

1-1. 知覚過敏症の悪化が原因

みなさんは知覚過敏症と言う言葉を聞いたことがありますか?知覚過敏症とは、簡単に言うと「歯がしみる」症状を言います。

矯正治療中だと矯正装置をつけた直後や、ワイヤーを交換した直後は「しみる・痛い」と感じやすいです。歯を動かすことで、一時的に歯と歯茎の間に隙間が出来ることによって生じる症状です。症状は長くても数日で落ち着く事がほとんどですが、酷くなると冷たいものだけでなく温かいものもしみたり何もしなくてもズキズキ痛むなど、長い時間症状がおさまらない場合があります。症状には波があるので一時的に症状がおさまったからといって放置していると、「歯の神経が死んだ状態」の歯髄炎を引き起こし、数回に渡る根の治療をしなくてはならなくなってしまうのです。

1-2. 矯正治療途中の噛み合わせが原因

矯正治療で歯を並べていく過程で、どうしても噛みにくかったり一部分だけ強く当たってしまう時期があります。歯は徐々に動いていくので強く当たる期間は長くはないですが、万が一強く当たる期間が長くなってしまうとその部分の歯の神経が弱ってしまい、やがて神経が死んでしまうことが中にはあるのです。もちろん上下の歯の当たりが一箇所のみに集中しすぎないように歯医者は工夫をしながら進めていくのですが、稀に避けられない場合もあります。

2. 矯正治療中に歯の神経が死んだことを気づく方法

では、どのように歯の神経が死んでしまったのか判断すればよいのでしょうか?

「歯の色」に注目してみて下さい。歯の神経が弱り、死んでいく過程でわずかに歯の色が変化していきます。神経が弱り始めると、歯がうっすらとピンク色になることが多いです。その後はややグレーがかった色に変化していきます。よく観察してみないとわからない程度ですが、神経が生きている歯と比べると違いはわかります。日頃から歯を観察する癖をつけ、少しでも色が変わったかな?と思うようでしたら歯医者に相談してみて下さい。

3. 神経が死んでしまったらどうすればいい?

神経が死んだ歯を放置してしまうと恐ろしいことを引き起こします。神経が死んでしまったことが診断されたら、すぐに神経の治療が必要です。歯の表面のエナメル質組織は強いですが、中にある象牙質やセメント質の組織は柔らかく、強くはありません。そのため、治療まで期間があいてしまうと急激に虫歯が進行していたり、最悪抜歯になることもあります。神経が死んだ歯は痛みを感じなくなるため虫歯の進行に気づけなくなってしまうのが重大なのです。

4. 矯正でなくても神経が死ぬ事はある!

今までは矯正治療によって神経が死んでしまう事をお話ししましたが、矯正治療をしなくても神経が死んでしまう事はあります。怪我をしたときに歯をぶつけた衝撃や、虫歯の痛みを放置してしまった場合にも起こりえます。神経が死んでしまうと最悪の場合抜歯、歯を失うことになってしまうので定期的に歯医者を受診しチェックしてもらう事が大切です。次にそれぞれについて詳しくお話しします。

4-1. 歯をぶつけた衝撃

歯を強くぶつけた場合、痛みは1週間くらいで収まることが多いです。しかし、歯の神経に強いダメージが加わった場合、気づかぬうちに神経が死んでしまいます。すると、数ヶ月~数年後に歯の変色が起こり、歯の根っこに膿が溜まる根尖病巣が出来ることがあります。そうなると、定期的な根尖病巣のチェックが必要となります。歯をぶつけても軽い違和感やしみるなどが数日間続くくらいなら自然治癒しますが、強く打ってかなり強い痛みがしばらく続くようなら神経が死んでしまっている可能性が高いです。神経が死んでしまっても、細菌感染がなければ自覚症状なく数ヶ月~数年経過することがあります。

4-2. 虫歯を放置した場合

虫歯で痛いなと思いながらもしばらく痛みを我慢していると、痛みがなくなってきます。この時は虫歯が治ったのかな?と思うかもしれませんが、決して治ってはいません。恐ろしい事に神経が死んだため痛みを感じなくなっただけなのです。それからまたしばらく放置すると、先ほどと同じく根の先に膿を作るようになり、歯茎が腫れたり、骨を溶かしたりして、また痛みを感じるようになります。ここまで行ってやっと歯医者に行くのでは手遅れの場合があります。痛みを感じたら放置せずに、すぐに歯医者を受診しましょう。

5. 最後に

矯正で神経が死んでしまう事は稀です。ただ、神経が死んでしまう事は誰にでも起こりえる事なので、何事も手遅れにならないよう定期的に歯医者でチェックしてもらう事も大切です。歯医者だけでなく自分自身でも観察する習慣をつける事で、最悪の事態を未然に防ぐ事ができるかもしれないですね。

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