1. レベリングとは?
レベリングとは、簡単にいうと歯の向きを揃えていく工程のことをいいます。歯の向き、角度、高さなどをワイヤーで揃えていきます。矯正治療ではこのレベリングをまず初めに行っていくのですが、このレベリングがうまく行えていないと、その後の治療の流れに支障をきたす場合があります。そのため、矯正治療の中でもレベリングは非常に重要な過程になります。
2. レベリングの目的
レベリングは歯の向きを揃えていく治療ですが、向きを揃えることで歯をきれいな位置に動かしやすくします。ガタガタのレールよりもきれいに揃っているレールの方がスムーズに動けるように、歯並びもきれいなレールができると、その後の治療もスムーズに行うことができます。“歯を動かしやすくする”のを目的に行うのがレベリングです。
3. レベリングの詳細
レベリングでは、まず歯の高さを揃えることができます。通常よりも下の位置にある歯や高い位置に生えている歯をそれぞれ挺出、圧下させ噛み合わせの面を整えていきます。
また、歯の傾きや方向もレベリングによって変えることができますので傾いていた歯やねじれていた歯が改善され、自然な向きになります。ただし、レベリングでは抜歯してできたスペースを閉じたり、噛み合わせの調整までは行えません。それらは、レベリングが終わった後の段階で治療していきます。
レベリングは最初に歯の向きをきれいに揃えるので、早い段階で「歯並びがきれいになった」と感じますが、実際はまだ最初の段階で、治療が終わったわけではありません。あくまでも、レベリングは今後の治療をスムーズに行うための準備段階です。
4. レベリングにかかる期間
レベリングは初期の段階で行われる治療ですが、期間はどれくらいかかるのでしょうか。歯並びの状態にもよりますが、レベリングには、だいたい半年から1年ほどかかるといわれています。矯正治療では、弱い力をかけて少しずつ歯を動かしていきますので、どうしても歯のガタガタが強い方は歯のねじれや高さを揃えていくのに時間が多くかかってしまう場合があります。反対に、ガタガタが強くない歯並びの場合はレベリングの期間も短い期間で終えることができます。
5. レベリング後の治療の流れ
レベリングではアプローチできなかった抜歯後のスペースを閉じたり、噛み合わせの調整を行なっていきます。
矯正のために行う抜歯では、主に、第一小臼歯という犬歯の後ろにある歯を抜歯します。第一小臼歯を抜歯することで歯を並べるスペースを大きく確保できますので、まずはそのスペースに向かって犬歯を後方に移動させます。
犬歯が後方に移動すれば、前歯を並べるスペースが確保できますので、次の段階では前歯を移動させてきれいに並べていきます。前歯の移動が終わると、歯列がかなり整い口元の雰囲気にも変化が見えてきます。
前歯が移動し終わったら、歯列全体の微調整や歯の位置の細かな修正に入ります。噛み合わせの調整も、この段階で行われます。この最後の微調整が終わると、矯正治療は終了となります。
6. 矯正治療中でレベリングが最も痛い?
矯正治療で感じる痛みは、力を加えて歯を移動させるときに感じる場合がほとんどです。痛みの感じ方はかなり個人差があり、歯と歯が当たるだけで痛いと感じ1ヶ月間固形物を噛めなかったという方もいれば、痛みを全く感じなかったという方もいます。この痛みは徐々に慣れていきますが、レベリングは治療の初期段階で行われるため痛みを強く感じる患者さんが多いです。レベリングの過程が終わると痛みの感じ方は弱くなる場合が多いので、歯並びがきれいになる事を想像しながらこの過程は耐えなければなりません。
7. どんなことも基本が大事
レベリングは矯正治療の重要な初期段階です。レベリングによって、歯の高さや向きを整え、きれいな歯並びへと導いていきます。しかし、レベリングがうまく行えていないとその後の治療もうまく行うことができません。何事も、本が大事ですので矯正治療のキーポイントはレベリングにあるといえます。レベリングでは強い痛みを伴いやすく辛い時期になりますが、その時期を乗り越える事できれいな歯並びへと近づきますので頑張りましょう!