格安マウスピース矯正は危険なのか?
歯並びを良くする歯列矯正の中でも、現在最も人気のあるマウスピース矯正。インターネットで調べていると、マウスピース矯正の治療費が30万円と書いてある歯科医院もあれば、100万円を超える歯科医院もあります。
誰もが、“少しでも安く歯並びを良くしたい!”と思う一方で、「安い理由は何なのか?」、「安いし、危険なのではないだろうか?」と心配な気持ちになります。
今回は、格安マウスピース矯正の中に潜む危険性について詳しく解説します。
目次
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市場に出回るマウスピース矯正は3種類ある
- 1-1. 標準型のマウスピース矯正
- 1-2. 限定型のマウスピース矯正
- 1-3. 歯医者飛ばし型マウスピース矯正
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格安マウスピース矯正の危険性
- 2-1. 口腔機能の低下や喪失
- 2-2. 歯肉退縮や歯根露出
- 2-3. いつまで経っても治療が終わらない
- まとめ
1. 市場に出回るマウスピース矯正は3種類ある
全体像を把握することで理解しやすくなります。まず大枠について簡単にご説明します。マウスピース矯正は大きく分けて3種類に分類することができます。それぞれの特徴を一言で表現すると、①標準、②限界、③歯医者飛ばしとなります。格安マウスピース矯正は②または③に分類されます。
費用の目安 | ||
① 標準型 | 80~100万円 | |
② 限界型 | 10~40万円 | |
③ 歯医者飛ばし型 | 10~40万円 |
1-1. 標準型のマウスピース矯正
インビザラインなどに代表される標準型のマウスピース矯正では、治療の範囲が上下左右すべての歯列の歯を対象に行われます。
次に、“口腔機能の確立”も治療の対象となっています。口腔機能の確立というと分かりづらいかもしれませんが、簡単にいうと、“ちゃんと噛める”ようにするということになります。残念ながら、矯正治療をしたけど、奥歯で物を噛めなくなってしまったという患者さんが近年急増しています。
詳しくは、質の高い矯正治療とは?にて解説していますが、奥歯はI級関係(いっきゅうかんけい)の状態でないと、噛むことができません。
標準型のマウスピース矯正では、治療後に“しっかりと噛める”ことを目的として行われます。見た目の改善だけではなく、口腔機能の確立までしっかりとケアされた治療が標準型のマウスピース矯正になります。
1-2. 限定型のマウスピース矯正
格安マウスピース矯正の1つである限定型のマウスピース矯正は、危険性があるので注意が必要です。
限定型のマウスピース矯正は、費用が10~40万円と標準型に比べて半額ほどで治療を受けることができるので、とても人気があります。
更に、費用に加えて、治療期間も数か月という短期間で終わることも大きなメリットとして感じる方が多いようです。
しかし、ここには大きな落とし穴が潜み、危険性が高まりますので注意が必要です。①標準型では、歯列全体すべての歯を対象とした治療を行いますが、②限定型のマウスピース矯正では、“前歯だけ”の対象範囲で治療を行ったりしてしまいます。前述のように、奥歯を考慮しない治療を行うと、上下の奥歯が咬み合わず噛むことができないということが起きてします。咬み合わせが正常でない状態が続くと、奥歯で何とか噛もうとすると顎に負担がかかり、顎関節症を発症してしまいます。
治療期間が短いという点も落とし穴です。簡単に終わらせるので期間が短いだけです。何か特別な方法で治療期間を短くできるということではありません。単に、しなければならない治療のステップを省略しているだけなのです。
ただし、限定型の格安マウスピース矯正で“問題なく治療が可能な方”もいらっしゃいます。しかし、その対象となるような方はわずか数%程度です。ほとんど方が、格安マウスピース矯正の対象とはなりません。そして、潜む危険性を無視して、マウスピース矯正を行ってしまうと噛めなくなったり、痛みを発症してしまったり、本末転倒の結末になってしまうことがありますので、十分な注意が必要です。
1-3. 歯医者飛ばし型マウスピース矯正
3つ目の格安マウスピース矯正は、歯医者飛ばし型と呼ばれるものです。この方法が最も危険度の高いです。歯医者飛ばし方では、その名前の通り、歯科医師(歯科医院)を介さずにマウスピース矯正を行います。Webサイトよりマウスピース矯正を申し込むと、自宅に歯型取りキットが郵送されます。自信で歯型を取り、工場に返送すると、マウスピース装置が送られてきます。送られてきたマウスピースを装着することで歯並びを整えるというのが第3の歯医者飛ばし型マウスピース矯正です。
現在の歯並びの歯型取り
標準型 | 歯医者飛ばし型 |
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歯科医院にて、歯科衛生士が型取り | 自宅または スキャニングセンター |
精密検査
標準型 | 歯医者飛ばし型 |
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セファロレントゲン・CTなど骨の状態まで詳細に確認 | 精密なレントゲンを行わないことがほとんど |
治療計画の立案
標準型 | 歯医者飛ばし型 |
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担当歯科医師が行う | プランニングセンター |
マウスピース装置製作
標準型 | 歯医者飛ばし型 |
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工場 | 工場 |
マウスピース装置装着
標準型 | 歯医者飛ばし型 |
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歯科医院にて、歯科医師の現認の元 | 自宅にて |
マウスピース矯正治療
標準型 | 歯医者飛ばし型 |
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歯科医師による進捗の確認&治療方針の修正 | アプリで管理 |
2. 格安マウスピース矯正の危険性
それぞれの格安マウスピース矯正について説明でも触れましたが、具体的に考える危険について整理していきます。
2-1. 口腔機能の低下や喪失
口腔機能とは、噛む、飲む、喋る、発音するなど口の中で行われる生活に必要な基本的な人間の機能です。
2-2. 歯肉退縮や歯根露出
歯茎が下がることを歯肉退縮と呼びます。歯肉退縮が進み、歯根(歯の根)が露出してしまうことがあります。
セファロレントゲンやCTなどにより、骨の状態まで詳細に確認した上で治療計画を立ててしまう際に起こりうるリスクです。
2-3. いつまで経っても治療が終わらない
標準型のマウスピース矯正では、治療期間中にリファイメントと呼ばれることを行います。1人つき、治療期間中、2、3回のリファイメントを行います。リファイメントは、予定通り治療が進まない。または、治療計画の変更の際に行います。
最初に作成した治療計画がそのまますんなりと進んでいくことは多くありません。こまめに歯科医師が状態を把握して、何度か計画を練り直し、付随してマウスピース装置を作り直します。
標準型マウスピース矯正の歯科医院で経過をチェックする過程は大切な過程となります。
3. まとめ
格安マウスピース矯正は、費用が安い、治療期間が短いと、一見夢のような矯正方法に見えてしまうことがあります。しかし、潜む危険性はそれらを大きく凌駕します。「歯並びがちょっとでも良くなれば良い」と軽い気持ちで治療したことで後悔している人が急増しています。
安いと言っても、数10万円が必要です。後悔が後に立たないように、格安マウスピース矯正で起こりうる危険を理解した上で、治療をするかしないかと判断されることをおすすめします。