マウスピース矯正の知っておきたい12リスク
マウスピース矯正に用いられるマウスピースは、国内で製作されたものと国外で製作されたものの2種類があります。特に、国外で製作されたマウスピースは、医薬品医療機器等法の承認を得ておらず、医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合がありますので注意が必要です。
- 仕上がりが悪くなる可能性がある
- 失敗する(治らない)ことがある
- IPRを行う
- 嚙めなくなる
- 痛み
- 治療期間が当初より長くなってしまう
- 歯根吸収
- 歯肉退縮
- 顎関節症
- ワイヤーによるリカバリー
- 後戻り
- 補綴物のやり直し
1. 仕上がりが悪くなる可能性がある
マウスピース矯正は、ワイヤー矯正に比べて仕上がりが悪くなる傾向にあります。例えば、正中が上下で一致していないや、キレイなアーチ状で仕上がっていないなどです。
マウスピース矯正は、歯の動かし方が限定的です。また、全体的に歯を動かすので、1つ1つの歯を多角的に動かすことのできるワイヤー矯正に比べて、どうしても仕上りが悪くなってしまいます。
2. 失敗する(治らない)ことがある
ワイヤー矯正に比べて、マウスピース矯正で失敗してしまう方の割合が非常に多いです。虫歯治療であれば、治療期間が1,2か月ほど終わることができますが、一方、矯正治療は、2年以上かかります。
1人の治療期間が長いということは、歯科医師にも長年の経験が求められます。失敗しないために、長年、治療を行っている歯科医師の元で治療を受けることが大切です。
3. IPRを行う
IPRとは、歯の表面を削ることです。歯を動かすには、動いていける余地(スペース)が必要です。その余地が少ない患者さんの場合、歯を抜くか、歯の表面を削るなどの処置をしなければなりません。
特に、マウスピース矯正の場合、歯を抜くと治療の難易度が上がりますので、歯を削るという選択をすることが多いです。
もちろん、臨床データから導き出された安全な範囲で歯の表面を削るわけですが、健康な歯の表面を削り、虫歯のリスクを上げることを嫌がる方もいます。
4. 噛めなくなる
マウスピース矯正経験者の声として多いのが、「噛めなくなってしまった。」です。ワイヤー矯正は矯正を専門としている歯科医師が行うことがほとんどですが、マウスピース矯正は矯正を専門としない歯科医師も多く行っています。
矯正を専門とする歯科医師の場合、見た目と機能(噛む、発音、しゃべるなど)の両方を踏まえた治療を行いますが、矯正経験の少ない歯科医師の場合、それらを両方踏まえることができないということがあります。
5. 治療中に痛みがでることがある
マウスピース矯正では、歯が骨の中を動くわけですから少なからず負担がかかります。ワイヤー矯正よりは痛みが少ないと言われているマウスピース矯正ですが、多くの場合、痛みが出ます。
6. 治療期間が当初より長くなってしまう
治療前に立てた治療計画通りに歯が動かないと、当初2年で予定していた治療期間が3年になってしまう等のことが起きることがあります。
7. 歯根吸収を起こすことがある
歯ぐきの上に出ている部分を歯冠、歯ぐきの下に埋まっている部分を歯根と言います。マウスピース矯正では、歯を動かすことで歯根吸収を起こす可能性があります。
8. 歯肉退縮(歯ぐきが下がってしまう)
マウスピース矯正によって、歯ぐきが下に下がってしまうことがあります。歯は骨の中に埋まっており、骨の中を移動していきます。骨の位置、量を見誤った治療方針を立ててしまうと骨の無い場所に歯を動かしてしまい、歯の根が露出してしまう。または、歯肉退縮してしまうことがあります。
9. 顎関節症を発症
顎関節症とは、顎が鳴ったり、顎が痛かったりする状態です。治療前に顎関節症を患っていなくてもマウスピース矯正によって顎関節症を発症することもあります。
10. ワイヤーによるリカバリー
マウスピース矯正は、従来型のブラケット矯正と比べて治療の幅が狭いです。つまり、マウスピース矯正だけでは治療を完了することができないことがあり、その場合、ブラケット&ワイヤー矯正によってリカバリーをしなければならないことがあります。
どうしてもワイヤー矯正の見た目が嫌だという方もいらっしゃいます。ワイヤー矯正によるリカバリーが必要なことが起きる可能性も考慮しなければなりません。
11. 後戻り
無理な歯の動かし方をしたり、マウスピース矯正後のかみ合わせの状態が悪いと後戻りをしてしまいます。
マウスピース矯正をしている方の中でも、デコボコをきれいにするだけのマウスピース矯正をしてしまっている方が非常に多く、治療後、数年経ってから後悔しています。部分的な矯正は、費用が安く、一見魅力的に診えますがこのような後悔が生まれていますのでご注意ください。
12. 補綴物のやり直し
むし歯になった箇所は、その部分を削り、小さければインレーを。大きければクラウンを被せます。補綴物は健康保険が効く銀歯などのようなものもありますが、金歯や白いセラミックなどの健康保険が効かないものもあります。
マウスピース矯正によって歯を動かすことで、かみ合わせが変わり、また各歯の角度なども変わったりします。その際、補綴物のやり直しが必要となることがあります。
特に、金歯や白いセラミックを自費で入れた方は、補綴物のやり直しで再度費用がかかってしまう可能性があります。