失敗例から学ぶ矯正歯科選びのポイントとは?
高額な治療費が必要な歯列矯正治療です。貯金をして貯めたお金で念願の矯正を始めたのに失敗してしまったという方もいらっしゃいます。矯正治療の失敗を避けるには、信頼できる矯正歯科で治療をすることと、治療開始前に担当ドクターと治療方針やリスクについてよく話をすることが必要です。
歯列矯正治療において、どのような失敗が起きるのか?よく起こる失敗例から代表的な10のパターンをご紹介します。まずは、失敗例の把握が大事です。失敗例を理解し、歯科医師と起こりうる可能性(リスク)を相談の上、矯正治療をするかどうかを慎重に意思決定することが大事です。
また、経験豊富な矯正歯科であれば、症例写真がたくさんあります。失敗しないために、医院のホームページや矯正相談(カウンセリング)時に症例写真を確認することも大事です。
目次
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よく起こる矯正歯科の失敗例10選
- 1-1. 噛めなくなってしまった
- 1-2. 横顔がブサイクになってしまった
- 1-3. 思い通りの歯並びにならなかった
- 1-4. ほうれい線が深くなった
- 1-5. 歯肉退縮した
- 1-6. 治療が終わらない
- 1-7. 後戻りした
- 1-8. 顎が痛くなった
- 1-9. 歯根吸収した
- 1-10. 正中が一致しない
- 矯正歯科選びで最も大切な3つのポイント
1. よく起こる矯正歯科の失敗例10選
1-1. 噛めなくなってしまった
咬合を無視した矯正治療を行うと“噛めなく”なってしまいます。見た目には、デコボコの歯並びもきれいになり一見良さそうに見えても、“噛めない”というトラブルが起こることがあります。
特に、奥歯のI級関係を確立できていない矯正治療が増えています。I級関係が壊れていると、物を噛んだり、歯を食いしばったりすることができなくなります。
1-2. 横顔がブサイクになってしまった
「健康な歯を抜きたくない」と思う方が多くいらっしゃいます。理由として、健康な歯を抜いてしまったら、なにか不都合なことが起きるのではないか?と不安に思うようです。また、単に抜く行為が怖いと思う方もいるようです。
しかし、歯を抜いて矯正した方が良いのに、抜かずに無理矢理に矯正治療をすることで横顔に吐出感を作ってしまう方がいます。鼻と唇と顎のイーラインを揃えることできれいな横顔ができあがります。
今まで出っ歯でなかった人が、抜歯しない矯正をすることで出っ歯になってしまうことがあります。
逆に、患者さんの都合ではなく、歯科医院側の都合で非抜歯矯正を勧めることもあります。特に、マウスピースを使った矯正では、非抜歯で矯正治療をした方が簡単だからです。抜歯を伴う矯正は、抜歯した分だけ歯を動かす距離が長くなるため、治療の難易度が上がることがあるからです。
1-3. 思い通りの歯並びにならなかった
美容整形でも同じようなトラブルが起きることがありますが、事前に思い描いていた歯並びにならなかったということがあります。歯科医師とのコミュニケーションロスや歯列矯正の限界などが原因です。歯列矯正は外科的な処置ではありません。人体の自然治癒力を利用した治療です。必ずしもこうなるといったことができません。ミリ単位で歯並びをこうしたいという希望は必ずしも叶うわけではありません。
1-4. ほうれい線が深くなった
矯正治療を行ったことが原因でほうれい線が目立つようになることがあります。ほうれい線が、より深くなることで歳を取ったイメージになってしまいます。
特に出っ歯の方が矯正治療をしたときに、このようなことが起きる可能性が高いです。出っ歯の方は、歯で皮膚が引っ張られている状態です。矯正治療をすることで出っ歯が改善するとともに、引っ張りがなくなりほうれい線が深くなることがあります。
1-5. 歯肉退縮した
歯肉退縮とは、歯茎が下がり歯の根が露出してしまうことです。歯が長くなったように見えたりします。矯正治療は、歯の根が埋まっている骨の中を移動させます。骨が少ない場所に誤って歯を移動させてしまうと歯肉退縮が起きてしまいます。
矯正治療前に、CT撮影やセファロレントゲン撮影を行うことでこれを回避しますが、この検査を省略してしまうと歯肉退縮が起きる可能性が高まります。
1-6. 治療が終わらない
矯正治療を開始してから、4年5年経つが未だ治療が終わらないということが起きます。一般的に矯正治療の期間は2~3年ですが、思うように歯が動かなかったり、補助装置の使用を怠ったりすると、なかなか治療が終わりません。
1-7. 後戻りした
矯正治療後に、歯並びが後戻りしてしまうことがあります。せっかく多額の治療費をかけてきれいな歯並びを手に入れたのに元の状態に戻ってしまっては元も子もありません。
無理な歯の動かし方をしたり、矯正治療後の保定を怠ったり、舌の悪癖があったりすると後戻りします。
1-8. 顎が痛くなった
矯正治療をすることで顎が痛くなってしまうことがあります。治療前にセファロレントゲン撮影などの精密検査を行い、顎の状態を加味した治療計画を立てないとこのようなことが起きてします。
1-9. 歯根吸収した
歯列矯正では歯根吸収を起こす可能性があります。歯は冠部分と歯根部分に分けられます。歯列矯正により、歯根部分が短くなってしまうことを歯根吸収といいます。
ある程度の歯根吸収は問題ないですが、過度の歯根吸収は歯が抜ける原因になってしまいます。
1-10. 正中の一致しない
上下の前歯の中心を正中といいます。正中が一致しているときれいな歯並びになります。逆に、正中が不一致だと、バランスが悪くなり顔に違和感が出てしまいます。見た目だけでなく機能的な問題に発展することもあります。左右のバランスが悪いということは、噛むときにどちら一方に強い負荷が加わることになるからです。結果、顎が痛くなったりすることもあります。
2. 矯正歯科選びで最も大切な3つのポイント
2-1. 詳細な治療計画を丁寧に説明してくれる日本矯正歯科学会認定医に治療してもらう
矯正治療で起こりうるさまざまなリスクを踏まえた綿密な治療計画による矯正治療を受けることが大事です。そして、計画を丁寧に詳細に説明してくれる矯正医に治療してもらうことをお勧めします。
日本矯正歯科学会認定医は、矯正治療の担保という点でも一定の基準になります。そして、日本矯正歯科学会は、業界団体として認定医に対して倫理観についても内部規制を行っています。
2-2. 症例写真を確認する
経験豊富な矯正歯科であれば、症例写真がたくさんあります。代表的な失敗例を理解して、医院のホームページや矯正相談(カウンセリング)時に症例写真を確認することが大事です。
2-3. 頭部X線規格写真(セファログラム)検査をしている医院で治療をする
日本臨床矯正歯科医会は、歯列矯正治療を専門に行う開業医の団体です。日本臨床矯正歯科医会の6つの指針では、頭部X線規格写真(セファログラム)検査をしている医院で治療をすることを推奨しています。